ヨセミテ遠征報告(前編)
2006年6月9日〜6月22日
アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ヨセミテ国立公園(YOSEMITE National Park
California USA)
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今年の6月、妻と2人でヨセミテへ行ってきました。連日晴天の中、改めて広大なヨセミテの大地と、自然の大きさに感動した2週間でした。 |
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いざ出発!
今回のスタートはサンノゼから。ロスやサンフランシスコと違い、こじんまりした空港で、レンタカーへのアクセスも簡単でした。今回の車はトヨタ・カムリ。受付のカウンターで、トヨタにするか、ポンティアックにするかと聞かれ、迷わず「トヨタ!」もちろん左ハンドルですが、日本車だから、気が楽でした。今回で右側通行も3回目。いきなり逆車線を走行とか、交差点での順番待ちなど、ミスはしたくないものですねー・・・ |
着いたその日はさすがに疲れていたので、マーセドで即モーテルへ。何せ妻は免許は持っているものの、まったく使い物にはなりません・・・運転はすべて私一人です・・・。
チェックインの後、マーセドの町を見物がてら、巨大なスーパーで買い物。ちょっとでも経費削減戦法で、ヨセミテビレッジより安そうなものを買いあさりました。めっけ物はカセットコンロのガスボンベ。EPIカートリッジより約1/4ほどの値段で買えました。
(番外編)実は今回の遠征、ハプニングやら何やらの連続だったのですが、この日はレンタカーのナビが不調で、何度道をまちがえたことやら・・・。ボロボロになってやっとマーセドにたどり着いたのでした。
今回はとにかくハプニングとポカの連続。どんな遠征だったか、まあ聞いておくんなさいまし・・・・ |
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明けて翌日は4時起床5時出発(まるで山だぜ・・・)。今日中にキャンプ4へ入るには、とにかく早く受付の前に行き、並ばねば!まだ暗がりの中、不調のナビに惑わされながら、ハイウェー140号線を、一路アーチロックエントランスへ。
途中マリポサで給油し、さらに車を走らせると、程なく道はマーセド川沿を走るようになり、早朝の冷たい空気の中写真などをパシパシ。ヨセミテ初体験の妻は既に感激ムードでした!
・・・しかし今日も早朝からハプニングが・・・
なんとハイウェー140号線は、もう間もなくゲートに着くというところで土砂崩れ!!通行止めになっているではないか!!目の前真っ暗、お先真っ暗!!仕方なくマリポサまで戻り、49号線を延々南下してハイウェー41号線へ。結局サウスエントランスより公園入りしたのでした。何とか8時前に着いたので、キャンプ4の受付には間に合いましたが・・・。あーもう早くも疲れちまったぜー。 |
とりあえずキャンプ4に無事入居できたので、一安心。ビレッジまで行き、テラスで朝食を摂り、この日は終日渓谷内を観光をしました。
やれやれだー、やれやれだー、よれよれだー・・・ |
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いよいよ3日目からクライミング開始!苦闘の末にたどり着いたヨセミテなのだから・・・と、いう立派な意気込みはなく、午前中の涼しい時間にスワンスラブをさらりと登り、この日は日曜日ということもあり、ウワサに聞いたアワニーホテルのサンデーブランチへと繰り出したのでした。
しかしうちのカミサン、あの膨大な荷物の何処にねじ込んで来たのか、ワンピースまで用意してたのには、びっくりだぜー!!さすがというか、何考えてんだというか・・・ 見よ!カミサンのヨセミテデビュー!? |
アワニーホテルの大食堂 サロンで順番待ち 豪華で景観とマッチした外観 ブランチを前にご満悦 |
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ナットクラッカー 5.8 ★★★★
この日の目標は、カミサンのたっての希望によって、ナットクラッカーへ。連日猛暑の期間中、この日だけは比較的涼しい日で、上部は風も強く、吹きさらしの中ビレイをしていると、じわじわと体が冷え、「早く登って来いよー」という感じでした。ちなみに妻は、ナッツの回収に手間取り、なかなか上がって来ません。んー頼むから早くうー・・・
ナットクラッカーは、エルキャップに程近い、スラブ状のマニュアパイル・バットレスにあり、アプローチも駐車場から2〜3分と至近。グレードも5.8とお手ごろのため、連日クライマーで賑わう人気ルートです。
ただし、各ピッチの長さや、ルート中、ボルトは一切なく、アンカーも自分でセットするなど、クライミングの総合力を試されるため、充実したクライミングを味わうことが出来ます。ロープは60mあったほうが良いでしょう。それと60cmスリングも10本程あると、ロープの流れがスムーズになります。
1P目 取り付きは、フードストッカーを10〜15m先に行ったスラブの一段上にあります。スラブは4th程度なので、ロープはいりませんが、慎重に。一段上がると大きな木の下にこれまた大きなテラスがあり、ここでロープをつけます。ルートは右のコーナークラックで、レイバックで越えます。写真の中にある木の所までは、3〜4級程度ですが、この木の上からが核心。コーナーもかぶり気味になり、緊張します。しっかりジャムを決めていきましょう。足はコーナー左のスラブを拾っていきますが、ヨセミテ特有のツルツルスラブに慣れてないと、怖いかも・・・。事前にスワンスラブでなれておきましょう!
1P目 技術的には核心か?
2P目は簡単なランペを右上し、快適なテラスへ。ここは大きなピナクルにスリングを掛けてビレイするので、180cmくらいのスリングがあると便利。
続く3P目は快適なハンドクラック。出だしこそ足元のスパッと切れたスラブを右に大きく出でるところが緊張しますが、クラックに入ったら、カムを決めて、後はグイグイいきましょう!ロープスケールで30mほどで、垂壁(人によってはハングか??)下の右上クラックへ。ここでピッチをきります。アンカーはポケットにスリングをまわし、必要なら、カムで補強を入れて作ります。
3P目は快適なクラック
4P目は出だしの垂壁を右から回り込み、再びスラブを左にトラバースしてクラックへ。スラブのトラバースはランナウトするので慎重に!!ちなみに出だしの垂壁から、左上のクラックを目指しても、同じクラックに合流出来ます。快適なハンドクラックから小ハング、またハンドクラックとこのピッチは変化に富んでいて、なかなか面白い!ロープを60m目一杯伸ばしてビレイポイントへ。ナッツとカムでアンカーを作ります。
4P目は変化に富んでいて面白い!
5P目。ロープが60mなら、これが最終ピッチです。ビレイポイントからスラブを登り、垂壁に突き当たったら、左へ。カムを決めたら、思い切って乗越ます。後はつま先の痛さに耐えながら、簡単なクラックとスラブを登ってテラスへ。マニュアパイルのてっぺんは、大きな広場になっていて、眺めもバッチリ!まずは1本目を登った余韻に浸りながら、次の目標を観察しましょう!
下降は、終了点左横に踏み跡がついているので、それを伝って裏のルンゼへ。ここにもしっかりとした踏み跡がついており、20分ほどでバットレス基部に戻ることが出来ます。
早く登って来いよー!
終了点にて 眺めはサイコー!
またこのマニュアパイルには、さらに初心者向けのアフターシックスというルートもあり、このエリアは、ヨセミテに来たら、まずここにという感じでした!!
んー、ちょっとかっこつけて、ルートガイド調にまとめてみました。いかがでしょうか?
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パノラマトレイル・ハイキング(Glacier Point〜Nevada
Fall)
ヨセミテ渓谷のもうひとつの楽しみ、それは雄大な大自然を、自分の足で踏みしめながら味わうハイキングでしょう。とかく日本人、特にクライマーは、ヨセミテをクライミングの対象としか捕らえていませんが、それはこの雄大なヨセミテのほんの一部でしかなく、極々限られた狭い地域での話なのです。今回私たちは、このハイキングで、ヨセミテ渓谷の違う一面を感じ、違った楽しみを味わい、雄大なヨセミテ渓谷の理解を深めることができました。
この日は珍しく、朝から曇り。キャンプ4から見える両側の岩壁は、上1/3ほどが、ガスの中。とりあえずキャンプを出発し、一路グレイシャーポイントへ。まずは41号線をChinquapinまで戻り、ここからグレイシャーポイントロードへ。この辺はもうすっかりガスの中で、曲りくねった道の運転には、緊張しました。
約1時間ほどでグレーシャーポイントに到着。しかし、以前ガスが濃く立ち込めていて、何も見ることが出来ません。仕方なく、しばらく車の中で待機。サンルーフの窓から空を見上げると、雲の切れ間から薄日が差すものの、すぐに厚い雲が・・。そうこうしているうちに、昨日までの疲れが出たのか、うとうとしてしまった。隣の車でガサゴソ支度をしている音に目が覚め、時計を見ると、既に10時を回っていた。とにかく行けるところまで行こうということにして、我々も出発する事にした。
グレイシャーポイントからネヴァダフォールまでの道は、パノラマトレイルと呼ばれ、ヨセミテではポピュラーなハイキングコースだ。出だしは、Illilouette Fall まで緩やかに下って行く。道は整備されていて、とても歩きやすかった。左手にはハーフドーム、目の前はネヴァダの山々が果てしなく広がっている。その眺めを見たときに、なんだかヨセミテ渓谷に対する思いというか、感覚というか、とにかく視野がウワーと広がっていくような感じだった。
やがて道は大きなオークの森の中を通るようになり、程なくIlliouette Fall Bridgeに到着。橋の下は巨大なナメ滝のようだ。轟々と音を立てて流れていた。
ここから道はつづら折れの登りになり、Panorama point からは、ほぼ水平な道を行くようになる。面白いのは、普段見慣れたハーフドームが、どんどん形を変えて見えることだ。渓谷の底から普段見るその姿は、お椀をスパッと真っ二つにした様な、そして切れ落ちた岩壁は畏怖堂々としており、まさに渓谷の象徴と言う感じだ。しかし、グレイシャーポイントから見ると、まるでペンギンが横を向いている様で、愛嬌たっぷりに見える。それがこのトレイルを歩いていくと、徐々に丸みを帯び、大きな大きな岩の塊になっていく。そしてちょうどハーフドームの真後ろに来るころには、エルキャップの様な、巨大な巨大なスフィンクスになっていた。
水平なトレイルは、やがてつづら折れの下りになり、ネヴァダフォールが近くなったことを感じる。つづら折れの道は、大きなオークの森に吸い込まれて行く。どれくらい大きいかというと、右の写真をごらんあれ。年輪を数えたえたら、少なくとも300年くらいはありそう。でも、実際に聳えている大木は、もっと大きいのです!!
程なくオークの森は開け、そこにはネヴァダフォールの落ち口が!なんと言ったらいいか、とにかくド迫力。滝のしぶきは絶え間なく降りしきり、滝つぼからは風が舞い上がる。もう黒四ダムもまっつあお。静かにたたずむオークの森から、いきなり躍動の世界へ飛び出したような、そんな感じでした。
復路は、ひたすら来た道を引き返すのですが、ほとんどの人は、ヨセミテロッジからツアーバスの片道切符でグレーシャーポイントまで来て、ネヴァダフォールまで歩き、ここからさらにジョンミュアートレイルを下り、カリービレッジに下山するようです。少々高くつきますが、こちらのほうが断然楽だし、先ほど歩いてきた道のりを、見上げながら歩くジョンミュアートレイルも、変化があって楽しいはずです。そんなこととはつゆ知らず、我々はえっちらおっちらグレイシャーポイントまで、来た道を登り返して行ったのでした・・・。
実はこれが後々尾を引くのでしたが、それは次回の講釈で・・・。
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